このシリーズは前回で終わっていたはずだったんだけど、
正体字(正體字)という言い方のことについてすっかり書き忘れていたね……。
このブログでは台湾の文字は繁体字というふうに言ってみているんだけど、
台湾の漢字の言い方にはバリエーションがあって、
教育部は台湾の漢字は標準字とか言っていたり、そして正体字という言い方もあったりする。
台湾の文字は正体字であるべきという考え方は結構前に打ち出されていたものではあったんだけど、
ただ、実際のところ、正体字とは簡体字ではない何かという以外、よくわからないものだった。
それが、馬英九が台北市長だったときに、正体字に定義づけを行う政治キャンペーンをしたこともあって、
目下のところ、台湾の中国語の漢字を正体字というふうに言う言い方がされている。
確かに台湾の役所のサイトでは「正體中文」という言い方をされていたりする。
ウィキペディアでも、「台湾正體」とかなっているのは、その影響?
「中国語のウィキペディアを台湾人に見やすくする」も見てね。
じゃあ、我々は台湾の総統の意向に合わせて正体字と言うべきなのかというと、そこまでこの政治キャンペーンが盛り上がっているかどうかの判断も必要な気もしている。
目下の情勢の中では、例えば何か大きな国際漢字大会があって、そこで漢字の言い方が採択されたということでもない限り、
日本にいる我々は、台湾の漢字をどう言うかについてまで深い関心を寄せなくてもいいと思うわけで、
いずれにしても、日本国内で台湾&香港人向けの中国語パンフレットの漢字字体は「繁体中文」でいいと思う。
ただ、もし、台湾の役所向けに文書をつくって提出する場合には、政治的なものを意識して、「繁體字」ではなくて「正體字」と書いた方がいいと思う。
実際に、「繁體字」と印刷してお役所に出したら刷り直しになったという話を聞いたことがあったのを思い出したので、これをおまけとして書き足しておくね。