まず、台湾でも字幕のことは「字幕」というけど、
「字幕」といって真っ先にイメージするのは、出演者が話す言葉を文字にしたもののことで、
テレビ番組の演出や効果のために出てくる文字情報というのは、字幕とは言いにくい。
我々が台湾でテレビをつけて見て、もう一目瞭然のことだけど、
台湾のテレビには、当たり前のように字幕がついている。
これはこのブログのかなりの読者の台湾人が生まれる前からずっと字幕はついているもので、
台湾のテレビには、日本よりもずっとずっと前から当然のように字幕がついていた。
テレビ字幕どころか、台湾におけるテレビ普及途上、白黒テレビだったころから、テレビ字幕はついていた。
「日本的電視字幕(1)」(中国語)にもあるけど、
1975年には、外国語番組に字幕を付与する立法ができたけど、
もう既にそのときには、外国語以外の番組には字幕がついていた。
こうやって見ると、日本の状況というのは悲しいぐらいなものだったわけで、
昨今日本はテレビ字幕後進国から相当追い上げていると言えるんだよね。
日本のテレビ字幕というのは、まさに聴覚障害者の運動の成果とも言えそうだけど、
台湾のテレビ字幕というのは、聴覚障害者のためについているというよりも、多分言語事情によるものだと思うよ。
これは、台湾国内の言語体系が別に国語(北京語)だけではないからというのもあるし、
逆に、国語以外でつくられたテレビ番組というのもあるからだと思うんだ。
ちなみに、外国語などの吹きかえ音声があったとしても、吹きかえに字幕もついてくる。
台湾の字幕と日本の字幕との違いとしては――
日本の字幕は、日本語使用環境における聴覚障害者のための字幕という側面が強くて、
クローズドキャプションで、字幕ボタンでオン/オフをするようになっている。
字幕には、演者の属性による色分けや、電話の音や音楽などの効果音もある。
台湾の字幕は、マルチリンガル環境における聴者のための字幕ということだよね。
オープンキャプションで、強制的に大体が下についていて、消すことはできない。
字幕はどれも白色で、出演者による色分けはないし、効果音の字幕も見たことがない。
字幕がついているテレビ番組という意味では、
台湾の方は、多チャンネルにもかかわらず相当網羅していて、
特に録画番組にはバラエティーであろうがほぼついている気がするけど、
日本のように、スポーツ中継やニュース番組への生字幕というのはないよね。
日本が台湾に絶対的に勝てないのは、テレビCMへの字幕づけだと思う。
いまいちな写真だけど、アニマックスのCM。
台湾では、一社スポンサーの番組でなくても、字幕がついているCMもちらほら見られる。
というか、台湾のCMはオープンキャプションでつけてスポンサーが納品するからだよね?
日本でも、CMにもっと字幕がつくといいんだよね。
テレビ字幕に関するトピックは「日本のテレビ番組の台湾での字幕」も見てね。中国語だと「日本的電視字幕(1)」「日本的電視字幕(2)」「日本的電視字幕(3)」「日本的電視字幕(4)」もあるよ。
「国語」がわからないという人は、かなり昔につくったコンテンツだけど、「台湾語と国語をめぐる勘違い」を見てね。