日本でのトイレの中国語張り紙を考える

以前、台湾のトイレの張り紙ということで、台湾のトイレの張り紙の文面について紹介したんだよね。

復習すると、台湾のトイレで訴えられているメッセージは、主に3つ。
トイレットペーパーを便器に入れるな
トイレした後は水を流せ
正しい姿勢でトイレせよ

これに対して、日本で、台湾人というか中国語圏の人に守ってほしいと思っているトイレニーズというのは
台湾のトイレで訴えられているものとは違っている気がするんだよね。

日本でもトイレはきれいに使ってほしいということは大前提なんだろうけど、
中国語として書かれる注意書きとしては、
トイレットペーパーは便器に入れてほしい
トイレットペーパーは持ち帰らないでほしい
――というのを結構見る気がする。

この前、トイレで中国語の貼り紙を見つけたんだけど、
何となく、ずれているような、納得できなかったこともあったので、これを紹介しつつ、解説するね。

このトイレでは、個室の中の大きなごみ箱に、日本語既習の台湾人には読めそうな文章が書いてある。

これはつまり、日本ではトイレットペーパーは可溶性だし便器に捨てる習慣です!と書いているようだけど、
じゃあ、このごみ箱は何なんだろう、トイレットペーパーを捨てちゃだめなのにどうしてごみ箱は置いてあるのだろうってことになる?
もっと言うと、台湾人は、トイレットペーパーは水に溶けるから便器に入れてもいいと考えるかどうか。
確かに、日本人的に、水に溶けない紙は便器に入れないというルールがあったかもしれない。
ただ、台湾人の場合は、水に溶ける云々ではなく、トイレットペーパーを便器に入れて流すと詰まるからごみ箱に捨てるんだし、
大人からもそう言われてきたし、社会的な要請としてトイレットペーパーはごみ箱に捨てるんだよね?
だから、「日本習慣」に根差してほしいという意図があったんだろうけど、
でも、もし「習慣」を動詞として理解されてしまった場合、日本はトイレットペーパーを便器に入れるのに慣れている――などと解されて、だったら、台湾人の自分は慣れていないからごみ箱へ捨てようとかになりかねない?

日本語では、きれいに使ってほしいと書いてあるんだけど、中国語では違うことが書いてある。

各国ニーズに応じての注意書きの表現は仕方ないにしても、
日本語の文章が非常に民度の高い人向けの格調高い文章であるのに対して、
この中国語の文章にはそういう格調高さがない気もしていて、皮肉っぽいと思わなくもない。

そこで、中国語のトイレの注意書き、どう書けばいいのかという例文をつくってみたよ。
格調高くないけれども、実用重視ということで、もしよかったら活用してね。

使用済みトイレットペーパーは便器に流してください。
請把用過的衛生紙丟入馬桶沖走

トイレットペーパーを持ち帰らないでください。
請不要把衛生紙帶走

これは汚物入れ(サニタリーボックス)です。ごみを入れないでください。
這是生理用品的專用垃圾桶、請勿丟入其他垃圾

ちなみに、サンキューという意味で、「謝謝你的合作」を最後に添えたりする表現も見るけど、
説明書きなんだから、そういうのは要らないだろうと思う。

ついでに、台湾での生理用ナプキンの捨て方が余りにも目に余るものだったので、
個人的にはこういう注意書きも大変必要な気がしている。

生理用ナプキンは個別ラップかトイレットペーパーにくるんで捨ててください。
請先用包裝袋或衛生紙把生理用品包好後再丟入垃圾桶

生理用ナプキンの捨て方についてもっと詳しく知りたいときは、ユニチャームのホームページとかに書いてあるので、参考にしてみてね。

このトピックでは、トイレットペーパーは全て「衛生紙」と書いているけど、
中国語を勉強した人の中では、トイレットペーパーは「手紙」じゃないの?というふうに思うのかな。
「手紙」と言ったら、トイレットペーパーのことを指すから笑われたというのは、よくありがちな中国語エッセイの題材だけど、
台湾では「手紙」は使わないから、「手紙」と発音すると「手指」(同じ発音)のことと間違える人もいると思うよ。