台湾の神木

神木というと、神社の御神木だけど、
台湾では、山の中にある巨木のことを神木と言ったりしている。
神木の定義もいろいろではあるようだけど、
樹齢1000年以上の木というのが何となくスタンダードな定義の気がする。

この「神木」という言葉自体は、昔々、日本人がそう言っていたから、そう呼ぶようになったんだろうという考え方が自然の気がする。
今日的には、「神木」の「神」というのは、長く生きている、すごいもの、奇跡を示すものとして解するのが自然だと思う。
したがって、普通の台湾人にとって、神木が崇拝の対象物になっているというわけではないよ。

神木になるような木としてよく見られるのは、タイワンベニヒノキ、タイワンヒノキ、タイワンスギ、クスノキ、タイワンゴヨウマツとか。
漢字で書くと、台湾紅檜、台湾檜、台湾杉、樟、台湾五葉松のことね。
個人的には、タイワンベニヒノキとタイワンヒノキばかり見ているので、ほかの樹種のことはよくわからない。

写真は、タイワンヒノキ、タイワンベニヒノキだよ。
神木には、番号や、それぞれ日本人でも理解できる愛称がついている。
しめ縄や紙垂がついているわけではないけど、中に入らないようにフェンスで囲ってあって、それでその木が神木であるかどうかを識別できる。

 
左は、タイワンベニヒノキ「司馬遷」、高さ40メートル。紀元前145年から生きているらしい。
右は、タイワンヒノキ「鄭成功」、高さ29メートル。こちらは1624年だから、1000年にはなっていないけど……

ヒノキとベニヒノキと言われても、色も何となく似ているし……
どっちがどっちなのかわからないんだけど、
両者の違いとしては、
比較的直立しているのがヒノキで、
ブロッコリーみたいになっているのがベニヒなんだって。
現地では、これら木の名前を「ヒノキ」「ベニヒ」と発音している場合もある。

こういう神木には伐採された歴史もあり、そして今残っている木があるわけだけど、
今ある神木が伐採を免れて今も残っているのは、
その木を使って、別の木を下に運ぶため
いい木を残し、種を取って苗木を育てるため
品質がいまいちで商品価値が低いため
――という理由からだよ。