住民票「台湾」、戸籍「中国」の表記差

2012年7月から、外国人登録証明書ではなく在留カードに変わったんだけど、
それに伴って大きく変わったのは、在留カードの「国籍・地域」の欄が「台湾」になることだったんだよね。
それまで、外国人登録証明書や登録原票記載事項証明書では、「中国」になっていた。
今はその制度が変わって、日本に在留している台湾人には住民票も発行されるけど、
住民票も、ちゃんと「台湾」となっているはずだよね。
在留カードに切りかえていないと住民票は「中国」のままだけど、切りかえると自動的に住民票も「台湾」になる。

それより少し前からは、台湾人が日本で取得する運転免許証の本籍欄は空白(何も書かれない)というふうに変わったりしている。
とはいっても、運転免許の本籍欄というのは、もはや表面上は消えてしまっているけれどもね。

新しい在留管理制度とか、運転免許とか、最近は「台湾」の地位向上の動きがあるんだけど、
ただ、戸籍上の記載は以前と変わっていない。
台湾人自身は日本に戸籍はないだろうから、これは台湾人と戸籍上の関係を持つ日本人の戸籍ということだよ。

例えば、台湾人と結婚した日本人の戸籍には台湾人の情報が記載されるようなんだけど、そこの記載される国籍は「中国」だよ。
以前、「日本人と台湾人との国際結婚手続 その3」ということで紹介したけど、
婚姻届の本籍欄に「台湾」と書いたとしても、受理証明では「中国」になると思う。

そこで、昨今の動きに乗じて、日本人の方で戸籍記載の台湾人の国籍を「中国」から「台湾」に変更することができるかというと、
そんな変更はそもそも想定されていないことなので、そういう要望には応えられないみたいだ。
自治体にしてみれば、台湾と中国本土、日本政府がどちらを正式な政府としていたとしても、
1972年の前でも後でも、どちらも国籍は昔から「中国」として統一されていて、それが変わらないからだよ。

戸籍や住民票というのは、それほど頻繁に使わないものではあるんだけど、使うときは肝心なときだったりする。
例えば、何かの手続や身分証明をするために、戸籍謄本や住民票をそろえるとする。
日本人と戸籍上関係がある台湾人が、当該日本人に戸籍謄本を発行してもらう場合、日本人の戸籍にある自分の国籍は「中国」になる。
一方、台湾人が用意する書類、自分の在留カードや住民票は「台湾」になっている。

住民票と戸籍が違うというのに違和感を覚えるんだよね。
自治体はこれまでどおりの戸籍制度を維持しているだけだし、特段行政上の問題は発生しないらしいんだけど、
普通の人が住民票と戸籍が同時に見たら、何で国籍が違うんだろうって思うんだろうなと思う。
思われるだけだったらいいんだけど、何か偽造しているんじゃないかとか悪く解釈されなければいいけどね。

台湾のパスポート」も見てね。