台湾の国字

台湾では、漢字のことを漢字とは呼ばずに「國字」(guo2zi4)という。
國字というのは注音記号に対する文字の概念のことだよ。
注音記号ではないものは何かと考えれば、それは漢字であるわけだけど、それを漢字と言わないで「國字」というわけだね。

確かに、今手元にある「新学生字典」という台湾の字典を見てみても、
辞書の使い方が説明されている部分で、この辞書は常用国字5000字を紹介していると書いてあるわけで、
漢字を紹介しているわけではないのだ。

以前「台湾の国語辞典 その3」で紹介したことがある「国語日報辞典」でも、よくよく見てみると、
例えば2102ページの漢字の表になっている部分には、漢字とは書かれてなくて国字と書いてある。

もっと言えば、「国語日報辞典」の1049ページによれば、
漢字の項には、外国人は中国の字をこのように読むという解説があるよ。

ちなみに、ここには載せないけど、国字については、その国の伝統的な文字というふうに紹介されているよ。

ただ、こんなふうに書いてあるからといって、私たちが「漢字」と表現したいところで気を使って「國字」と置きかえて連発することはないんだよ。
通常は「字」(zi4)とか、使いなれていない漢字であれば「生字」(sheng1zi4)を使ったりするよ。

ということで、実は「漢字」という言葉は専門用語的な言い方みたいで、台湾人と話していて「漢字」という言葉が相手に通じなかったとしても、それはおかしくないということなのだ。
日本事情を知っている台湾人なら日本では漢字のことは「漢字」と呼ぶことを知っているから、間違いなく漢字と言っても通じると思うけどね。
私のように日本に住んでたまに台湾人に接していると、相当気づきにくいことだね。