保密防諜という防諜教育

今の台湾では国防分野以外ではなされていない分野だろうと思うけれども、
かつて学校現場でスパイに対する教育というのが政治的になされていた。
「保密防諜」(bao3mi4 fang2die2)、保防教育というよ。

具体的には、中国の工作員に対する危機意識を持つということみたいだ。
学校現場で保防教育として子供に教える内容は、不審者を見たり、不審なビラを拾ったら、先生や警察に届けるとか、不審な質問には答えてはいけないとかだよ。

特に定期的に時間割に組み込まれているわけじゃないけど、学校ではさまざまな保密防諜に関する読本が個々人に配られて、それを読んだりとかするみたいだよ。
読本の中はストーリー仕立てになっていて、読むことで具体的な事例がわかるようになっているみたいだ。
読本はいろいろなものがあったらしいんだけど、写真を撮ったので載せてみるね。

左が「保密防諜通論」(1960)、右が「保密防諜故事畫」(1986)だよ。

このような活動のほかに、
作文を書いたり、ポスターをつくったりというようなコンクールみたいなのとか、
葉書が配られて、クイズに答えると、抽せんで何かもらえるというのもあったみたいだよ。

過去はこうやって行われていたものも、一般の台湾人にとっては「保密防諜」というのは死語に近い言葉なんだろうと思う。
とはいうものの、軍では今でも行われていることだろうから、台湾人の2人に1人、つまり兵役を経験する台湾人男性はこういう話を知っているんだろうけどね。

ちなみに、台湾ではスパイは犯罪だよ。台湾刑法107条、敵国のスパイあるいは協力者は処罰されるよ。
中国語が読めたら、「日本的間諜」も見てね。

この手の話題が好きだったら、「三民主義という入試科目」とか、「戒厳令時代の台湾の言論統制」シリーズ       も見てね。