台湾の中国語と兒化

日本で中国語を勉強していると、いろいろなところで「儿化」(er2hua4)という現象に遭遇するけど、
台湾人にはそもそも「兒化」という言葉の自体が、それほど身近ではない。
「兒化」という概念だけを出されて説明を求めても、当の台湾人は何のことを言いたいのかわからないかもしれない。

一般の台湾人の使う中国語は、普通は「兒化」しない。
だから、例えば「上面兒」「下面兒」「前面兒」「後面兒」とかにはならないんだよ。

例えば、「一會兒」(yi2huir3)とかは、後ろに「兒」がつくけど、これって、「兒」がないと意味が通じないか。
こういうの以外は、語尾に必要以上に「兒」は要らないということだ。

台湾人に対して「兒化」された言葉を話されても通じるらしいけど、でもそれを使う人はほとんどいない。
外省人の中には、この手の「兒化」した方言を話す人はいるかもしれないけど、それは台湾で中心的な発音の仕方ということではないようだ。
台湾でテレビとかを見ていても、ニュースを読むアナウンサーやタレントさんもそういう話し方をしないと思う。教育的にも推し進められている用法でもないようだ。
そもそも台湾人自身が舌を巻いて発音する音がそれほど得意ではないことも影響しているかもね。

ただ、例えば、こそあど言葉に当たるような「這兒」「那兒」「哪兒」とかを、それと同じ言い方をする「這裡」「那裡」「哪裡」に読みかえをしたりするわけではないし、話し言葉では前者を選んで話す人の方が多いと思うよ。これはこれで「兒」を使う。もっとも、台湾人自体の発音のイメージとしては「兒」は外されて、「這」「那」「哪」だけを言っているのかもしれないけどね。

台湾の中国語と台湾語については、「台湾語と国語をめぐる勘違い」「台湾語と国語の距離」とかも読んでみてね。

コメント

  1. Gonta

    「兒」は無視
    台湾に来て早1年のGontaです。
    確かに、中国語の先生(当然台湾人)曰く、
    「語尾の『兒』は発音しなくていいですよ。」と。
    発音がヘタクソなのに漢字通りに発音しようとして、
    「一塊『餓』」とか、変に聞こえてしまうといわれました。
    ホント、(音の少ない言葉を母語とする)日本人にとって外国語の発音は鬼門ですわ…

  2. sakiba

    児化というのは、そもそも北京方言の発音を標準語(普通話/国語)の発音基準に引き込んでからスタンダードになったものです。
    日本人に限らず、中国でもそれが苦手の人の方が多数じゃないでしょうか。
    もちろん、台湾とは全く無関係なルールです。

  3. コメントありがとうございます
    (Gontaさんへ)
    こんにちはszyuです。コメントありがとうございます。
    おお、もう1年が経過したんですね。では、初登場から1年経過したということでしょうか――台湾で楽しく暮らしていますか?。台湾にいながらにして、台湾のことを書いているこういうブログにいらっしゃってくれるので、多分楽しく暮らしているんだろうと思います。

    なるほど、無理して「兒化」しなくていいということですね。
    あの発音をたくさんすると、何か眠くなってくるんですよね。舌が使いなれない変な位置に移動するからでしょうか。できれば避けたい発音です。
    ☆☆☆

    (sakibaさんへ)
    こんにちはszyuです。コメントありがとうございます。
    何でもかんでも「兒化」されると、私にとっては聞きにくいというよりも、とても乱暴に聞こえて、怒られているような気がして、聞いていてつらいんですよね。日本語であの「兒」に近い音が出るときは、威嚇しているときとか怒っているときとかだと思うんです。
    中国も、北京エリアから南下していくと「兒化」は少なくなっていく気がしますし、台湾は無関係であるということであれば、聞くときの恐怖感は少なくていいです。
    ☆☆☆