日本の中国語表示(繁体字と簡体字) その5

しばらく書かずに放置してしまったこのシリーズは、これが最終回のつもり。

台湾人自身が簡体字についてどう思っているのか?という根本的な気持ちは、このブログでも幾つかのコメントをいただいているんだけど――

より客観的に、
台湾人が簡体字はどのぐらいわかるか?、
簡体字を使っていきたいという前向きな気持ちがあるのか?
――について、ちょっと古いけど、新聞社の世論調査を見たいよ。

2年前の中国時報という大手紙の調査によれば――

簡体字の知識について
 まったくわからない:44.5%(50歳以上にこの傾向が強い)
 すこしわかる:41.5%
 完璧にわかる:14.5%(20~49歳にこの傾向が強い)

学生は簡体字を習うべきか?
 反対:51.5%
 賛成:26.7%
 どちらでもよい:21.7%

将来台湾は簡体字を導入すべきか?
 反対:77%
 賛成:7.5%
※19歳以下の92.3%は簡体字の導入に反対

http://forums.chinatimes.com/survey/9504a/Htm/01.htm
調査期間:2005/04/03~2005/04/06
調査方法:電話調査
サンプル数:1077人(台湾総人口2300万人)

――という答えだったわけで、
今後、中国大陸部の商品が台湾に押し寄せれば、台湾人の中でも簡体字のリテラシーはそれなりに上がるかもしれない。
けれども、だからといって、似通った文字だから一緒にしてもいいという考えがないことは、
恐らく日本人の漢字についての考え方でも十分受け入れられることだと思うよ。

このシリーズの結論として、
 日本人は、中国語の漢字キャラクターに簡体字と繁体字があることを認識すべき
 日本の情報表示には、簡体字中国語と繁体字中国語の両方を入れるべき
 簡体字と繁体字では使用される訳語は違うはず
――ということをアピールしたい。

興味があったら、過去の話も見てね。
日本の中国語表示(繁体字と簡体字)
その1――日本における中国語情報表示は簡体字情報が多いという実情に対する感想
その2――日本において繁体字中国語と簡体字中国語の情報表示が混在してしまっている実情及び実例
その3――繁体字中国語と簡体字中国語の情報づくりをする際の語彙への配慮について
その4――入国状況から見た、日本での観光表示としてより必要な中国語キャラクターとは?
その5――統計から見る、台湾人の簡体字中国語のリテラシーと繁体字へのこだわり

なお、特に台湾人の方で、台湾で使われている文字は「繁体字」ではなく「正體字」であるというふうにコメントされる方がいらっしゃいますが、その手のコメントは御遠慮いただけませんでしょうか。

興味がある方は、過去のやりとりを確認してください。
台湾人と簡体字中国語」「台湾人の名前のピンインの並べ方」「日本の中国語表示(繁体字と簡体字) その4

コメント

  1. 簡体字について思うこと
    思妤さん、久しぶりにコメントさせていただきます。

    私は日本人ですが、簡体字は中国の文化と歴史を捨てた愚行だと思っています。
    簡体字しか読めなければ、漢詩漢文が読めなくなってしまいますから。
    その意味では、簡体字を勉強している外国人(漢字を知らない人たち)は可哀想ですよね。興味があって勉強しても、その先にある歴史や文化を読むことができない。
    まぁ、漢字を勉強することだけでも相当大変ではあるのですが。

    結論で書かれていたことはその通りだと思います。特に、「日本の情報表示には、簡体字中国語と繁体字中国語の両方を入れるべき」には大いに賛成です。「中国語」という大枠では一緒でも、別の言語だという認識でも良いのかも?と思います。

  2. 別のものとして考えた方がわかりやすいかもしれません
    (龍さんへ)
    こんにちはszyuです。コメントありがとうございます。
    漢字文化については私自身としてはその国それぞれというあいまいな答えにさせてください。簡体字のことを言ってしまうと、じゃあ日本語の漢字はどうなんだという話になってしまうので、私は漢字のデザインの優劣についてはオリジナルに近いものにはより敬意を示して、その感じも「読める」という教養はほしいなと思います。簡体字を書く中国語のネーティブの人たちは、大抵は繁体字も読めるんじゃないでしょうか、そんな気がします。
    簡体字と繁体字は別の言語との認識というのは、私もそう思います。それは、繁体字の人たちが日本にある中国語のインフォメーション(簡体字中国語)を読まずに日本語のインフォメーションから情報を把握しているのを見たときにそう思いました。
    NHK中国語が簡体字である以上、どうも中国語というと簡体字だけと思ってしまう人も多いかもしれませんが、そうではなくて別のものもあるよというところも紹介したいなと思います。
    ☆☆☆