戒厳令時代の台湾の言論統制―1

戒厳令時代の台湾の言論統制―0も見てね。

戒厳令時代、台湾で中華人民共和国について情報を得ようとして、何か書物を見ると、中華人民共和国の部分の表記はどうなっていたかというと――
当該国名の前には「偽」のスタンプが押されていたりしたんだ。
つまり、こういうスタンプを押すことで中国大陸の正当性を主張していた時代もあったんだということだね。
その時代には、教科書にすら「共匪偽政権」というような書きぶりをされていたんだから、まあこんなスタンプがあっても仕方ないといえば仕方ないか。

以下、写真はすべて「平凡社世界大百科事典」(1983年版)のものだよ。

これは、各国の年表を紹介しているページで、中国大陸の支配者が中華民国から中華人民共和国になった部分を紹介しているんだけど――
見てのとおり、中華人民共和国のところに「偽」という文字のスタンプを押してある。

それから、これは「世界各国の主要統計」というページで、世界の面積と人口を紹介してあるんだけど――
見てのとおり、中華人民共和国のところに「偽」という文字のスタンプが押してある。

ちなみに、かつて中華民国と韓国との間に国交があり、友好関係が明確だったときには、対立する北朝鮮に対しても「偽」というスタンプが押されていたりもしている。

さらに言えば、「偽」というのは書き言葉での表現手法の一つであり、別の言葉も存在するし、さらに話し言葉ではもっとひどい言い方があるらしいんだけど、これはブログ記事の趣旨と外れるので、ここで紹介せずに歴史とともに葬り去されることを祈りたい。

ちなみに、国立図書館の「平凡社世界大百科事典」も一応チェックしてみたけど、もちろんこんなふうにはなっていないよ。
これらの写真は、あくまでも地方の田舎の図書館にある古いもので昔の名残があるものを撮影しているわけなので、誤解をしないでね。

(続く)
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