一昔前のことではあるけれど、
台湾にも愛国心を養うための愛国歌曲というのが存在した。
これは政府や学校が学生に歌うように奨励しているし、
その時代の子供は一般的にはそれしか持ち歌がないこともあって、
ピクニックの時とかでも楽しく歌う歌だったみたい。
かつての政府がつくっていた音楽の教科書を開くと、
最初に国歌、次に国旗歌、次が孫文や蒋介石の紀念歌と続いて、
初めて音楽教科書の授業の内容が始まったんだけど、
その教科書の中にも愛国歌曲がたくさんあった。
台湾でも合唱コンクールはあるみたいなんだけど、
その課題曲として愛国歌曲もあったので、
合唱コンクールで歌う歌にもなったんだね。
逆に、恋愛を歌うようなポップスは「靡靡之音」(mi3 mi3 zhi1 yin1)、
つまり退廃した音楽としてさげずまれてきた。
授業のほかにも、1980年代の最初のころまでは
アニメ番組の前の番組枠は偶然にも愛国歌曲「中華民国頌」を流す番組だったので、
大抵の子供は好むと好まざるとにかかわらず「中華民国頌」とそのプロモーション映像を見ることになっていた。
こんなこともあって、ある一定の年齢以上であれば、
愛国歌曲を歌おうと思えば歌えるんだけど、
今となれば、愛国歌曲というのも廃れ、
特に外省人の年配者なんかが好んで歌うのみとなってしまった。