台湾の赤い糸の話

日本でいうところの小指と小指が赤い糸で結ばれているというのは、
台湾人にもわかる話だと思う。

赤い糸の話というのは、唐の時代の説話の中にあって、それに由来するみたい。

今は昔、ある晩、若者が月の下で本を読む老人に出会った。
その老人に読んでいる本のことを聞くと、縁結びに関する本だと答え、老人の横に置かれた袋のことを聞くと、その袋の中には赤い糸が入っていると答える。

若者が赤い糸について聞くと、老人によれば、一度その糸で結ばれた男女は、敵同士であろうと身分が異なろうと結ばれることになるというではないか。
若者は自分の将来の妻はだれなのかと聞きたくなった。すると、老人はとある村の今は3歳になる女の子であると答えた。
その答えに若者はけなされた思いさえして、人をしてその女の子を殺しに行かせたのだった。しかし、若者の命令に反し、結局その女の子の頭に傷を残すだけで殺されはしなかった。

かくして、若者が長じて高名な身分になったころ、若者の目の前に結婚相手があらわれたのだが、何と女性の頭には例の傷跡があったのだ。
若者はあの老人のことを思い出し、あの老人は月下老人(縁結びの神様)であることに気がつくのだった……

赤い糸は自分がつなげるのではなくて、
月下老人が気がつかないうちに両者を仲介し、赤い糸をつなげているものらしいね。

ただ、どういう種類の糸がどこでくくられているかというのが、このストーリーで厳密に描写されているわけではないよ。
これから以後は、後世でのイメージのつくり込み方によって個々のイメージは異なってくることだと思う。

中国とかの話では、赤いひもが足にくくられていたりするけど、
日本のアニメとかでは、赤い糸が小指にくくられていたりするよね。
台湾では、両方を見ている場合もあるので、どういう赤い糸を強くイメージしているかはまさに個人の主観によって異なってくると思う。

将来の結婚相手とは赤い糸で結ばれているというような運のめぐり合わせのことを「千里姻縁一線牽」(縁は異なもの味なもの)といったりする。
赤い糸というのは「紅線」というよ。