孫文と蒋介石の神格表現 その2

前回「孫文と蒋介石の神格表現 その1」でも紹介したように、
孫文や蒋介石の名前に対して結構神経を使っていた時期があったことを紹介したけど、
その当時は、書く文字にももちろん気を使わないといけなかったんだよ。

孫文や蒋介石を呼ぶ呼び方「國父孫中山先生」「先総統蒋公」には書き方があって、
孫文のことは、「 國父」とか「國父 孫中山先生」とか
蒋介石のことは、「先総統 蒋公」とか書くようにしていた。

スペースの位置を注目してほしいんだ。
その尊称の前には文字を書いてはいけないんだね。

実は、こういう事例は日本にもあって、
例えば、戦前の帝国議会の会議録を見ていると、「天皇」の文字が出てきたら――
スペースあけたり、改行したり、改行しても1行スペースあけずに書いたり、それでもだめで1文字分上から書いたりなどとやっていたりしていた。
もちろん、今の日本人の常識から考えると引くかもしれないけどね。

そのスペースのあけることを「抬頭」というんだって。
昔は書物を見ればこういう書き方ががんがんされていたのでその表現は自然と覚えていったりしたんだけど、
それも今となればすたれ、見かけることが少なくなりつつあって、
こういうスペースのあけ方の不思議さに、
「先総統空一格蒋公」とか「先総統抬頭蒋公」というジョークを飛ばす台湾人もいる。