戒厳令時代の台湾の言論統制―3

前回は、都合の悪い部分が黒塗りされてしまうということを紹介したんだけど、
その黒塗りするような範囲が大きいとき、そこには紙が張られていたということを紹介するよ。

以下、写真はすべて「平凡社世界大百科事典」(1983年版)のものだよ。

オーソドックスな張り紙の仕方は、こんな感じだよ。

台湾について紹介している下りのようだけど、途中で紙が張られている。
張り紙には何やら中国語が書いてあるんだけど、その意味は、
「行政院新聞局の命令により、不適切な文字を削除しました。」ということみたいだよ。
そのとおり、台湾当局にとって都合の悪い表現があったから削除したということなんだろうね。

気になる中華人民共和国に関する記述のところにも張り紙は存在する。
都合の悪いところが多ければ、自然と張り紙をする面積も多くなる。
 
右側の写真のように、文字が印刷されている張り紙専用の紙が張られていないで、
別の紙を張って文章を見えないようにしているところもあるよ。
別の紙はどういう紙でもよかったみたいで、内容と全く関係ない紙が張られている。
別の紙を張るときには、「奉令削除」といったようなスタンプが押される。

こうして、ページのところどころに都合の悪いところは黒字で消されたり、紙を張られたりしている場所が混在したりする。

とはいっても、今となれば、
黒塗りしたところはインクが薄くなって何が書かれているか見えるし、
張り紙された場所も紙がはがれて内容が見えるようになっているし、
これは台湾の昔の政治的スタンスの遺物でしかない。

これらの写真は、あくまでも地方の田舎の図書館にある古いもので昔の名残があるものを撮影しているわけなので、誤解をしないでね。

(続く)
「戒厳令時代の台湾の言論統制」    3