前回は、「偽」スタンプについて紹介したんだけど、
日本人が想像する検閲行為である黒塗り教科書みたいなものも、もちろんあるよ。
当局に都合の悪い部分というのは、もちろん黒塗りにされたりもしているんだ。
以下、写真はすべて「平凡社世界大百科事典」(1983年版)のものだよ。
これは、もくじのページだよ。
恣意的に都合の悪い部分がピックアップされて黒塗りされている。
当時の台湾当局にとっては「中国共産党」は都合が悪かったに違いないんだけど、
「中国映画」「中国演劇」「中国文学」も都合が悪かったんだということらしいんだけど――
ならば、「中国考古学」がなぜ都合が悪くないのかわからないし、
もっといえば「中国地方」とは、多分日本の中国地方を指している気がするんだけど、なぜ黒塗りなのかよくわからないのだ。
これは、年表のページだよ。
共産党と国民党の内戦を経て、共産党が中華人民共和国を建国するというまさにそのあたりの時代なんだけど、
まあ、当然のように、そこが削られていたりする。
見えにくいけど、あえてさらに拡大しないことにしたい。
さらに、黒塗りは百科事典の文章にも及んでいたりする。
これは日本にあるものを日本人がチェックして黒塗りにしているわけではなくて、
台湾にある、しかも台湾の地方にある図書館の百科事典なわけで、
ここまでする、できるということは、相当日本語力と教養がある人が検閲しているわけで
根気が相当要る仕事だと私は思ったりもする。
ちなみに、こういう百科事典を、今、こうやって見て、
黒塗りにされた文字のその中身はしっかり読めたりするんだけどさ、
それはインクの寿命や劣化とも関係するわけで、
やっぱり、かつては、黒塗りにされた部分は多分見えなかったんだと思うんだ。
これらの写真は、あくまでも地方の田舎の図書館にある古いもので昔の名残があるものを撮影しているわけなので、誤解をしないでね。