かつて、台湾の軍隊には野球チームが陸軍、空軍、海軍にあった。
そのチームはとても強くて、
台湾の社会人野球(成棒)の中でも一番レベルが高かった。
それは、野球がうまい人が兵役をするときに、軍の野球チームに所属していたからなのだ。
野球チームは自薦が可能だが、トライアウトがあるわけではなくて、昔の経歴を見て判断される。
高校野球、社会人野球で活躍した人とかが選ばれる。
日本のプロ野球界でも有名な台湾プロ野球選手、例えば、
郭泰源(かくたいげん)、郭源治(かくげんじ)、荘勝雄(そうかつお)、許銘傑(しゅうみんちぇ)、張誌家(ちゃんずーじゃ)
なんかは、陸軍の野球チームに所属していた。
軍の野球チームは、兵役中の野球人材をかき集めて編成された一番強い野球チームと言えるのだが、
それは、単に優秀な野球選手を集めているから強かったということだけではなくて、
それには、恐ろしき信賞必罰システムが働いていたから強かったと言えそう。
野球チームは軍事訓練のかわりに野球の練習をして試合に出る。
もし、社会人野球で優勝したら、すぐに長期休暇がもらえるのだが、
しかし、試合に負けると、軍事訓練が待っているのだ。
例えば、郭源治の当時は、陸軍の野球チームが空挺部隊に所属していたので
陸軍の野球チームが試合に負けてしまった後は、パラシュート訓練をするはめになった。
だから、みんな負けないように練習する。
野球の練習を怠けると普通の編制に戻されてしまうので、一生懸命練習する。
兵役制度が過渡期にあるため、今はこういう制度はない。
軍の野球チームもなくなってしまった。
今の有名な野球の選手は、兵役のかわりに国訓隊という特別なチームに所属し、
台湾のプロ野球チームによって訓練されている。
しかし、国訓隊は、試合を勝ってもごほうびはないし、負けてもペナルティーはないこともあり、
それほど強くはなくなってしまった。
結果的には、軍の野球チームがあった当時に比べて、
昨今のシステムは優秀な選手を養成にマイナスになってしまっていると言えるかもしれない。